[BBS投稿No.53]
日時/場所
- 2000/10/16 ニュージーランド南島 クライストチャーチ シャグロック付近
インシデントの内容
- メインインシデント:トウラインが身体に絡み、危うく窒息死しかけた
- サブインシデント:左手の負傷およびデッキ上の全ての装備を失う
ツアー状況
- SKOANZ Level 1 Sea Kayak Guideの資格試験日の『トウイング試験会場』から『サーフィン試験会場』への移動中。
- 天候:北風平均20ノット、時折30ノットの突風。風向きはビーチと並行。
- 波:うねり1.5〜2.0m。インシデント場所のサーフ2.0m前後。
- 試験官2名、受験者6名。
- 被害者インシデント人物は、受験者だった私。
インシデントの詳細
- 試験3日前に、観測史上最大の嵐が吹き荒れたばかりで、海は大荒れ。
- SKOANZの資格試験運用規定の「限界状況」を一部超えていたような状況下で資格試験が行われていた。
- 『トウイング試験』を終えた我々は、『サーフィン試験』の会場となる別のビーチに向かって移動中だった。
- その移動区間中に、平均1.5m以上、時に2mをはるかに超える大きなサーフが砕ける場所があり、ここを横切ろうとしていた我々は、試験官も含めて全員が次々に沈。
- 私の場合、巨大なサーフに巻かれた衝撃でスプレースカートが外れてコクピット内に大量浸水してロール失敗、沈脱。
- 立て続けに襲ってきた2m超のサーフに巻かれて洗濯機状態になった際、トウイング試験の時に伸ばしっぱなしのままにPFDのポケットに突っ込んでいたトウラインが身体に絡み付き、カヤックのリアハッチのポート側に背中を押し付ける形で固定されてしまった。
- (ちなみにカヤックのスターボード側が沖を向き、私は岸側を見る形)
- 悪いことに右大腿部が腹部に押し付けられる形でグルグル巻きになっていたため、PFD右ポケットに収納していたナイフが自分の腿と腹に挟まって、取り出せない。
- また、トウラインは首のすぐ下にも巻きついている。
- 次に大きなサーフに巻かれたら、おそらくこのラインが首を絞めるのは、確実に思われた。
- サーフのパワーを考え合わせれば良くて窒息、悪ければ一瞬で首の骨が折れるだろうという状況。
- ちなみにスペアパドルを始めとするデッキ上の緊急装備はおろか、リアハッチのハードカバーまでもが、全てサーフにもぎ取られてしまっていた。
- ネオプレン製のソフトカバーはなぜか無事だったため、コンパートメント内への浸水はなく、カヤックは浮力を失っていなかった。
- 後で分かったことだが、カヤックにしがみついて手を捻ってしまったか、どこかに打ち付けたのしたのか、左手がグローブのように腫れ上がってしまい、この後のサーフィン試験時点ではほとんど使い物にならないほどの怪我になっていた。
- また、全身いたるところに打撲症がみられた。
- さらに、コンタクトレンズも片方(しかも視力の極端に劣る方)を紛失していた。
- ちなみに私のインシデントには直接関係ないが、試験官がこのサーフゾーン内でトウイングをしていて大きなサーフに掴まった際、トウラインが切断されるという、マイナーインシデントも発生している。
処置
- 自由になる左手でクイックリリースベルトを外してトウラインをリリースして、背後から迫り来るデカイサーフを振り返りつつ、左手一本で絡まったラインをほどいた。
- ほどいた直後にサーフに巻かれて再度洗濯機状態。間一髪。
原因
- ○テクニック不足により沈脱したこと
- ○試験時に伸ばしていた5mのPFD装着ショート・トウラインを、再度キチンと編み込まないままに好い加減にPFDのポケットに突っ込み、そのままバカデカイサーフゾーンに突入してしまった事。
反省/対策
- ◎反省点
- 直接の原因は上記の通り、トウラインの処理のミス。
- 遠因としては、なまじっか腕に自信を持ち始めた頃だったために、サーフを侮っていたという、大きな根本原因も挙げられる。
- また、もちろんサーフィン技術不足自体も無視出来ない。
- ◎対策
- ○サーフゾーンに突入する際は、ライン類の処理はきちんとしておくこと(いかなるサイズのサーフであっても)。
- ○巨大なサーフゾーン内でレスキューをする際には、不用意にトウイングしない事。
- サーフ・ゾーン内でのトウライン使用は、レスキュー者・被レスキュー者双方にとって命に関わる危険性を秘めている事をよく認識しておく事。
- ○デッキ上のモノも、なるべくコンパートメント内に収納したり、サーフにさらわれないようにキチンと固定されている事を確認する事。
- ○サーフゾーンに突入する際は、スプレースカートもロデオ並のものを使用するのが望ましい。ちなみに私が使用していたものもそういうもので、今考えてもあのスカートが外れてしまったサーフの威力自体が信じ難いほど。
- ○ナイフはどちらの手でも即座に抜けるように収納・固定しておく事。
- 私の例を見ると分かる通り、低い位置(腹部)などに装着した場合は抜けない事もあるので、肩に近い場所の方がトラブルが少ないと思われる。
- もちろん現在は肩に装着し、どちらの手でも抜けるようにしている。
- ○と同時に、サーフゾーン内では自分のナイフが自分を傷つける凶器になりうることも認識し、収納方法にも気を遣う事。
- ○もちろん、サーフィン技術は常にブラッシュアップすること。
- 現在ならば、おそらくあの状況でも沈脱することはないと思われる。
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